野村総研の金融資産ピラミッドに隠された「不動産」という盲点
「マス層が8割だから、自分も普通」——SNSやマネー系YouTubeでよく見かける野村総合研究所(NRI)の金融資産ピラミッド。あの有名な三角形を見て、そんなふうに安心したことはないだろうか。
しかし、あのピラミッドには決定的な盲点がある。
住宅ローンは引かれるのに、家は資産に入らない
NRIの定義する「純金融資産」とは、預貯金・株式・投資信託・保険などの金融資産の合計から負債を差し引いたもの。
ここで重要なのは、住宅ローンは負債として引かれるのに、その対価である自宅の土地・建物は資産にカウントされないこと。
→ NRI基準では「マイナス3,000万円」の扱い
→ 実際には2,000万円分の不動産資産を持っている
NRI発表のピラミッド(2023年)
NRIが2025年2月に公表した最新の推計(2023年時点)がこちら。マス層が約8割を占めている。
※ 純金融資産=預貯金・株式・保険等の合計 − 負債(住宅ローン含む)
不動産を足すと景色が一変する
日本の持ち家率は約61%(総務省「令和5年住宅・土地統計調査」)。そして総務省「2019年全国家計構造調査」によると、日本の世帯の家計資産の約57%は宅地・住宅資産が占めている。持ち家世帯は平均して2,000万円前後の不動産資産を保有しているのだ。
この不動産資産を加味してピラミッドを再推計するとこうなる。
どれだけ変わるのか?
準富裕層以上は 約10% → 約25% に倍増
見えない格差の正体
なぜNRIは不動産を含めないのか
NRIの目的は金融機関のマーケティング支援であり、「金融資産をどれだけ持っているか」が関心の焦点。だから不動産を除外するのは一定の合理性がある。
しかし、個人が自分の資産状況を把握する上で、この定義をそのまま使うのは危険だ。不動産は流動性が低いという批判はもっともだが、売却すれば現金化できるし、リバースモーゲージなどの選択肢もある。「流動性が低い=資産ではない」とはならない。
まとめ
NRIの金融資産ピラミッドは金融業界にとっては有用な指標だが、個人の資産状況を正確に映す鏡ではない。不動産という日本の家計最大の資産を無視したまま「自分は普通」と思い込むのは、本当の格差から目を逸らしているのと同じだ。
あなたが思っている以上に資産を持っている。
その現実を知った上で、自分にとって最適な資産形成の戦略を考えていこう。

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